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体の悩み

卵巣摘出(凍結)。11歳で白血病になった彼女の選択

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がん治療で子どもができなくなる可能性

基礎体温計
昨今、手術・化学療法・放射線治療等の進歩により、がん患者の方は社会復帰できる可能性は高まりました。

ですが、若い女性のがん患者の方にとって、がん治療の副作用により子どもができない身体になる可能性があることはとても大きな問題です。

がん治療をしなければ自身の命にかかわるので重要ではありますが、完治してせっかく普通の生活に戻った時、一生子どもができないとなると、女性にとってはとても辛い決断を迫ることになります。

ことにそれが、未成年ともなると、後見人となる保護者にとってもどう決断してよいのかさらに悩むことになります。

11歳で白血病に

 

11歳の女の子は白血病と診断されました。

家族の中に型の合う人がおらず、骨髄移植のドナーを待っています。

それまで、抗がん剤治療を行うことになりました。

両親は女の子本人に告知するか悩んでいました。
しかし、今は簡単に情報を得ることができるネット社会です。
女の子は自分の症状や病院、主治医の専門などをパソコンの検索エンジンに入力して検索し、自分の病気を知ってしまいました。
女の子は症状もまだあまりないため、実感はなくその時は取り乱す様子もありませんでした。

抗がん剤治療による生殖機能への影響

女の子はまだ初潮も迎えていません。

抗がん剤治療をすると生殖機能が侵される可能性が高くなります。
両親は女の子自身の病気のことが第一に心配で、早く治療に入ってもらいたいと訴えました。

親御さんにしてみたらそうでしょう。女の子に将来子どもができるかどうかも、とても重要とは思ってはいますが、それよりもその前に女の子の命が一番です。

しかし、女の子は子どもが大好きで保育士になりたいという夢をもっていました。
そして、自身も結婚してお母さんになりたいと思っていました。
両親は女の子のその気持ちをよく理解していました。

結果、自分達の気持ちを優先するのでなく、女の子の気持ちも考えてやりたい、と女の子本人も医師からの説明を一緒に受けることになりました。

妊娠する機能を保存する「妊孕性温存」とは

サクラ

小児科医から白血病治療の説明がひととおり終わると、産婦人科医にかわり、“妊孕性温存”のくわしい説明に入りました。

“妊孕性温存”とは、女性の妊娠する機能を保存しておく治療です。

現在は生殖医療の進歩により、卵子・卵巣組織を凍結保存する技術が確立しています。

抗がん剤治療に入る前に卵子・卵巣組織を採取し、液体窒素で凍結保存することで、完治後、移植して機能を回復することができる可能性があるのです。

始まったばかりの手法なので、将来保存していた卵子・卵巣を戻しても機能が回復するかは確約できません。

そして、もし発見できないような微小のがん細胞が卵巣に残っていたとしたら、将来卵巣をもどした際に、そこからまた再発する可能性が全くないとはいいきれません。

妊孕性温存によるデメリット

枯れた花

一方で“妊孕性温存”のためにがん治療に入るのが遅れ、予後の悪化が懸念されることも事実です。

ですが、そういった期間がなるべく短くなるよう各科のがん治療医と生殖医療専門医(産婦人科医)が連携できるネットワークも都道府県ごとで確立されつつあります。

また、卵巣摘出、卵巣保存は保険適用外のため、自費診療となります。

そのため、高額な医療費がかかるのです。おおよそ、卵巣摘出に60万円、卵巣保存に5万円、保存料が毎年2万円かかってきます。これは、病院によっても異なります。

“妊孕性温存”の治療はだれに対しても認められるものではないため、それぞれに合った治療を選択する必要があります。

卵巣摘出の選択

 

女の子は初潮も迎えていないため、排卵誘発して卵子を採取する必要はなく、早期にがん治療に入れること。卵巣を腹腔鏡手術により摘出し、凍結保存の適応となることが説明されました。

女の子も両親も悩みました。でも、悩んでいる時間もあまり与えられていません。

つらい抗がん剤治療の前に、さらに手術となる怖さもあったようですが、女の子も両親も将来の可能性に希望を残しておきたいと思い、卵巣凍結を選択しました。

卵巣を戻すのはおよそ10年後

女の子が結婚して、卵巣を戻したいと思うのは、およそ10年以上後でしょう。

その頃にはさらに医療の進歩も期待できます。
希望をもって治療を受けれることが、がん治療においてもいい結果となったようでした。

“妊孕性温存”の治療は対象者も限られており、またまだがん治療医すべてに周知されていません。

もちろん、世間一般の方にはことさらだと思います。
でも、海外ではすでに、卵巣凍結していた卵巣を移植して、自然妊娠に至った例も発表されています。
病気によって不妊となることを仕方ないと片付けて諦めてしまわなくてよくなってきているのです。
これは若い女性のがん患者の方にはとても嬉しい医療の進歩だといえるでしょう。

しかし、これは選択のひとつです。
まずはあなたのためにあなたの身体を大切に思って治療をしてもらいたいと思います。
子どもをもつことだけが人生ではありません。
子どもをもてないことでコンプレックスを抱かないでほしいのです。
辛い治療をのりこえたあなた自身が素敵な女性だからです。

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