日本人の2人に1人がかかり、
3人に1人が死亡すると言われているがんは、
医療技術の進化により早期発見が可能になってきている。
がんの検査方法と治療法シリーズ第15回は、50〜60歳代の女性がかかる確率が高く、2012年の罹患数第5位の子宮がんについて紹介する。
子宮は、子宮体部と子宮頸部によって構成されている臓器で、受精卵の着床や胎児の発育の場となるスペースだ。
そこに生じる悪性腫瘍を総称して子宮がんといい、子宮の下部の入り口に位置し、膣と繋がっている子宮頸部にできる子宮頸がんと、子宮上部の胎児を育てる子宮体部にできる子宮体がんの2つに大きく分けられる。今回はこのうち、子宮頸がんの検査法や治療法について解説する。
組織診とコルポスコープ診の比較
子宮頸がんの有無を調べるには、まずパパニコロウ検査と呼ばれる組織診が行われる。
膣から綿棒などを挿入し、子宮頸部の粘膜を擦り取る。採取した細胞を特別な染色法で染めると、正常か異常なのかを判別することができる。
簡便な検査ではあるが、子宮頸がんの発見に非常に役立つ検査だ。
さらに詳しい情報を知る方法に、コルポスコープ診がある。
この検査では、コルポスコープ(腟拡大鏡)と呼ばれる器具を用いて、子宮頸部粘膜の状態を拡大鏡で観察し、気になる部位をリアルタイムで検索する。ここで組織診とコルポスコープ診の特徴を比較してみよう。
時間 | 費用 | リアルタイム | |
---|---|---|---|
細胞診 | 短い | 安い | 不可 |
コルポスコープ | 長い | 高い | 可 |
コルポスコープでは、大きな器具を膣内に挿入するため、違和感や痛みを感じる人もいる。
検査中に気になる病変が見つかった場合は、そのまま組織を採取することもできるが、出血や痛みを伴うこともある。
子宮頸部の悪性腫瘍が確認されると、次に超音波検査やCT、MRI検査などの画像診断を行い、治療計画に役立てていく。
子宮頸がんの治療法
子宮頸がんの治療では、病態や病期に応じて外科療法、放射線療法、化学療法が行われる。
進行度の低い子宮頸がんでは、子宮の部分切除や全摘除することが多い。
この段階であれば、腫瘍が表層にのみ留まっているため、完治する可能性も高い。
ステージⅢ~Ⅳといった進行度の高い子宮頸がんとなると、外科療法単体での治療が難しく、放射線療法と化学療法が主体となり、完治する可能性は非常に低くなる。
20代後半から30代、40代と罹患率が高まる子宮頸がん。若い女性のリスクが高く、若さゆえにがんの進行も早いケースもある。定期的に組織診などを受けることによって、早期発見を心がけたい。
記事/Colorda(カラーダ)
by カラーダ
記事公開日 2016/11/13
最終更新日 2017/09/04