高校の時のクラスメイトにおとなしい、眼鏡をかけた女の子がいました。
口数も少なく、決まった友達としか話さない。
そんな彼女が高校3年の3学期、びっくりするような変身をしてきたのです。
そんな彼女のことを紹介したいと思います。
目次
ガングリオンのせいで……1年生からあだ名はキノコ
彼女の第一印象
私が通っていた高校は私立で、他府県からもたくさんの人が通学してくる学校でした。
人数が多く、1学年は8クラス。
同じ中学から進学してくるような子もほとんどいないので、みんな早く友達を作ろうと必死でした。
私も同じ中学出身の子がいなかったので、いろんな子に話しかけていました。
今回紹介したい彼女は同じクラス。
第一印象はいかにもまじめそうな、おとなしい子でした。
あだ名:キノコちゃんの由来
ある日、彼女の隣の席の男子が教科書を忘れて、彼女に見せてもらうことになりました。
その男子はクラスのムードメーカー的な存在で、声も大きく、誰とでも仲良くなれるような子でした。
授業が始まって間もなく、その男子生徒が急に大声をあげたのです。
「手にキノコが生えている!!!」
そう、彼女には手首に大きなしこり(ガングリオン)があったのです。しかも1つではなく4つも。
彼女は反論することもなく、周りが騒ぐのをやめるまでじっとうつむいていました。
きっと中学の頃から、ずっと言われてきたのだと思います。
その日からあだ名がキノコとなった彼女は、嫌がるそぶりを見せることなく普通の高校生活を送りました。
ガングリオンのキノコちゃんが変身
高校3年の夏。
それぞれ高校卒業後の進路に向けて動き出したころです。
夏休みが終わって、2学期スタートの初日。
あれ?こんな子クラスにいたかな……と思うくらい、キノコちゃんが変身していたのです。
手首のしこりはなくなり、キレイな肌。眼鏡をやめてコンタクトに。
黒髪のワンレングスでぴっしりとひとつに結んでいたヘアスタイルが、ゆるフワの茶髪に。
その変貌には誰もが驚きました。
ガングリオンとは?
大変身のキノコちゃんに、みんなは興味しんしんで、とりあえず何があったのか質問攻め。
キノコちゃんいわく、高校卒業後は実家の会社に勤めることになり、化粧品を扱う会社の営業なので見た目が大事だと4つ上の姉に言われた。
そこでしこりを手術で切除したところ、長年のコンプレックスが解消され、もっと自分は変われるのではないかと、夏休み中に努力をしたそうです。
キノコちゃんの手首は生まれた時からあるもの、そういう形の骨格なのだろうと私自身は思っていたので、切除出来るなんて考えもしませんでした。
キノコちゃんに詳しく聞くと、あれはガングリオンという腫瘤だったのだと言います。興味がでてきた私は、ガングリオンについて調べました。
ガングリオンとは、手足の関節などにできる腫瘤のことで、いわゆるコブのこと。中にはゼリー状の物質が詰まっています。
キノコちゃんのように手の甲側の手首にできやすいそうです。
そのほか、手のひら側の指の付け根にもできやすいとのこと。
手だけでなく、足にもできる可能性があるというので、調べながら驚きました。
腫瘤はぼよぼよと柔らかいものから、骨のように硬くなってしまうものまでさまざま。人によっては「骨が飛び出てきた!」と勘違いされる方もいるのだとか。
痛みもなくおさえてみるとコリコリしているのが特徴。
ただしできる場所が悪いと神経を圧迫してしびれや痛みを感じます。
手を使い続けることで大きくなることも。
癌などの悪性腫瘍ではなく、いわゆる良性腫瘍。
ところが、再発がたびたびおこるので少し厄介な存在のようです。
ガングリオンの中にあるゼリー状の物質は、関節液・滑液という、関節部の骨と骨の間にある関節包の中の、潤滑液の役目を果たしているものが基になっています。
それらがあふれ出て溜まったものがガングリオンなのです。
ガングリオンは日帰りで切除できる
ガングリオンは良性腫瘍なので、自然に無くなることもあるようです。
ただ、ガングリオンは治療して自然になくなったとしても、再発する恐れが強いことで知られています。
どうしてできるのか、原因ははっきり解明されていないものの、若い女性に発症が多いと確認されています。
手をよく使う人がかかりやすい、いやいやストレスを感じるとなってしまう……などなど、原因の説は様々ありますが、よくわからない、というのが現状です。
放っておいても特に問題はないのですが、それでも病院で治療はしたほうが良いそうです。
自分でつぶすなどの対処をすると、激痛を伴うことや、部位によっては骨や神経に悪影響を与え、二次障害を起こす原因にもなる可能性があります。
また、針でつぶすのも、細菌が入り込み、感染症にかかる恐れがあるので絶対に行わないようにしてください。
やるとしたら、どちらの方法もお医者さんにやってもらってくださいね。
キノコちゃんは姉にすすめられ、整形外科へ診察にいったとのこと。
ガングリオンに直接注射を刺して中にある液を吸い出す治療方法もあったようですが、何度か吸引しないと無くならない上に、再発の可能性が高いと言われ、1回の手術で終わる切除手術という方法を選択したのだとか。
治療としては、他にレーザーで除去する方法や直接つぶしてしまう方法もあります。レーザーだと再発する可能性も低いと言われています。
切除手術は、局所麻酔をしてガングリオンができてしまう関節包(関節を包むふくろ)自体を切り取り、取り除くというものになります。
30分程度で終わり、麻酔がきれるまで安静にし、3週間ほど通院をして完治という流れです。
医療保険で保険金請求ができたようで、キノコちゃんはそのお金で美容院に行ったり、化粧品等を購入したりしたと。
ガングリオンの切除手術は保険金請求ができるのですね。
ガングリオンで悩んでいる方へ
ガングリオンは、あまり一般には馴染みがない病気です。
私もキノコちゃんに出会うまでは全く知りませんでした。
けれど先ほども書いたように、若い女性の発症率が高い腫瘍です。ガングリオンがあるという悩みを抱えている若い女性も少なくないようです。
あまり目立たないものもあれば、キノコちゃんのように見てすぐにわかるといった比較的大きめのものもありますが、常に痛みを伴うわけではありません。
長年コンプレックスを抱えていたキノコちゃん。
ガングリオンを切除したことは、彼女にとって「ただ手首にできた腫瘍を取り除いた」以上の意味がありました。
コンプレックスがなくなったことで、いろいろなことに対してもっと積極的になれる。それはとても素敵なことだと思います。
ガングリオンを切除して、変身した姿は、同じ女性である私から見ても、すごく輝いていました。
キノコちゃんと同じ悩みを抱えている女性がいましたら、すぐに病院で治療してもらうことをおすすめします。
by きの
記事公開日 2017/08/24
最終更新日 2017/08/24