子宮頚癌とは
子宮は、体部(上の部分)と頚部(下の部分)に大きく分かれています。そして、それぞれの部位より悪性腫瘍(癌や肉腫)が発生します。一般には、子宮より発生する癌には上の部位より起こる子宮内膜癌(子宮体癌)と下の部分よりおこる子宮頚癌にわけることができます。
子宮頚癌は女性10万人に対し毎年15人が罹患している、頻度の高い婦人科癌です。癌検診で見つかる場合や出血やおりものの増加などで気付く場合があります。組織検査では約70%強が扁平上皮癌で、20%弱が腺癌、残りが腺扁平上皮癌になります。
子宮頚癌は子宮頚部の細胞診、コルポスコピー、生検などの検査を行い「がんである事がわかった」後、各種画像検査などを用いて「がんの深さ・広がりなどの進行具合」を判定します。子宮頚癌の進行期はⅠ期からⅣ期まであり、数が増すほど癌が進行している事になります。
臨床進行期分類
臨床進行期分類について簡単に説明します。
Ⅰ期:子宮頚部にしか癌が発生していない場合
ⅠA期:肉眼では癌は確認できないが、細胞診をもって診断できるもの
ⅠA1期:癌が子宮頚部の間質の深さ3㎜以内、広がり7㎜をこえないもの
ⅠA2期:癌が子宮頚部の間質の深さ3㎜以上5㎜以下、広がり7㎜をこえないもの
ⅠB期:肉眼で明らかな癌の病巣が確認できる、またはⅠA2期をこえるもの
ⅠB1期:癌の病巣が4㎝以下のもの
ⅠB2期:癌の病巣が4㎝をこえるもの
Ⅱ期:癌が子宮頚部をこえて広がっているが、骨盤壁または腟壁下1/3には達していない場合
ⅡA期:癌が腟壁には認められるが、子宮傍組織には認められないもの
ⅡA1期:癌の病巣が4㎝以下のもの
ⅡA2期:癌の病巣が4㎝をこえるもの
ⅡB期:癌が子宮傍組織にも認められるもの
Ⅲ期:癌が骨盤壁にまで達しその間に空間がないもの、または腟壁下1/3に達する場合
ⅢA期:癌が腟壁下1/3に達するが、骨盤壁にまでは達していないもの
ⅢB期:癌が骨盤壁にまで達しているもの、水腎症や無機能腎を認めるもの
Ⅳ期:癌が小骨骨盤腔をこえて広がっている、膀胱、直腸粘膜にも認められる場合
ⅣA期:癌が膀胱、直腸粘膜に認められるもの
ⅣB期:癌が小骨盤腔をこえて広がっているもの
手術に関して
子宮頚癌で手術を行うのはⅠA期からⅡB期までです。
単純子宮全摘出術:子宮のみを摘出
準広汎子宮全摘出術:単純子宮全摘出術と広汎子宮全摘出術の間
広汎子宮全摘出術:側方は骨盤壁近くまで、前後は膀胱や直腸の境界まで、また膣壁も含めて子宮と一塊として摘出
※卵巣については子宮頚癌の進行期、患者の年齢や月経の有無によって摘出したり、あるいは残したり(温存)したりします。卵巣を残す場合には術後の追加治療(放射線等)を考慮して卵巣の位置を変更します(卵巣転移術)。
ⅠA1期:単純子宮全摘出術、準広汎子宮全摘出術+骨盤リンパ節郭清(脈管にも病巣がある場合)
※将来の妊娠を強く希望している場合は、円錐切除術にて採取した部位の状態によって、子宮温存できる場合もある。
ⅠA2期、ⅠB期、Ⅱ期:広汎子宮全摘出術+骨盤リンパ節郭清
化学療法・放射線療法
Ⅲ期からⅣ期については、個々の全身状況や患者本人の希望も考慮して化学療法や放射線療法を行います。
一般的に他臓器への転移が認められるため、症状緩和によるQOL(日常生活の質の向上)を目指した治療となります。
気になることがあったら、まずは病院へ!
本記事は、子宮頚癌取り扱い規約を参考にし、なるべく分かりやすい言葉でまとめたものです。
あくまでガイドラインであり、それぞれの身体の状態や、本人の希望などによって治療方法はかなり変わってきます。
例えば、同じ病状でも80歳と20歳ではなにもかもが違いますよね。80歳なら手術で子宮温存しておく必要はないし、逆に体力がなく手術をしない可能性もあります。でも、20歳でどうしても将来子どもがほしいと考えているなら、リスクをかかえつつも手術では子宮温存して定期検診を毎月受けるという選択ができるかもしれません。
自己判断せずに、必ず主治医に相談するようにしましょう。
そして、治療するにあたり、主導権はあなたにあります。
相談しにくい病院や医師は気にせず代えましょう。病院や医師によって、診断基準や治療方法も違います。自分に合った病院や医師に出会うことがなによりの治療なのです。
by shibaiku
記事公開日 2017/09/04
最終更新日 2017/09/04