約10年つきあった彼とゴールイン♡なのに、あれよあれよという間に……
彼との出会いは高校1年生。
学園祭に向けてバンドを結成することになり、お互い別々のグループだったのですが、練習やリハーサルで顔を合わせることが増え、お付き合いに発展しました。
そのまま約10年間、ここまで一緒にいるとは当時全く思っていませんでしたが、ケンカをしたり、笑い合ったりしながら、結婚適齢期の男女に成長していきました。
その間、ずっと順風満帆ではなく、2度ほど別れたことがありました。
1回目は彼の進学先が県外になり、遠距離恋愛が寂しすぎて疲れてしまったタイミングで私の近場にいい人が現れかけた時。
そして、2回目はあまりに付き合いが長すぎて、彼に対して思いやりや優しさを持てなくなった時。
最初の危機は、彼が地元へ帰ってきてくれて、翌年大学を受け直したのであっさりと復縁。
まるでドラマのようなシチュエーションが現実にあるものです。
以来、『何をしても、何を言っても私のことが好きなんだ』と高を括っていた私。
待ち受けていたのは、「一緒に歩く人生が見えなくなってきた……」という突然の別れ話でした。
彼を失って改めて大切さに気づいた私は必死になって挽回……!
4ヶ月後、なんとかやり直すことができました。
就職して4年目に入った頃には、もうふたりの関係はすっかり『安泰期』。
自然と結婚話が具体化するようになりました。
また、その頃週末は彼の家で過ごしていたので、結婚生活のリハーサルもばっちり!
ふたりとも同じ高校。
共通の友達や恩師に温かく祝福されながら地元のホテルで結婚式を挙げました。幸せでした。
なのに、です。
結婚式から3ヶ月後には別居。
1年後、私はまさかのバツイチになっておりました……!
しかも、私の方はずっと変わらず彼のことが大好きで。
本当は家も出たくなかったし、離婚届にサインをするのも嫌で嫌で仕方なかった。
あの時は「人生でこれ以上苦しいことはないかも」っていうくらいの相当なダメージで……。
万年ぽっちゃりの私が、この時ばかりは一気に5キロ近く痩せてしまうほどでした。
すれ違いのきっかけは、たわいのない出来事
子どもは欲しかったので、いずれは退職するつもりだった私。
新居は彼の職場の近くに決めました。
共稼ぎも考えていましたが、私の仕事は不規則なうえ、サービス残業が多い職種だったので、妊娠したら辞めてフリーになろうと。
お互いの職場までは私が車で1時間弱、彼は同じく車で5分の距離でした。
彼はというと、土日休みで残業はほぼナシ。
18時にはお家に帰っている地方公務員。
料理がとっても上手な人だったので、新婚生活が始まってしばらくは率先して作ってくれていました。
しかしこれが業務化しそうだと危機意識を持ち始めたのか、「明日は作れそう?」と聞いてくるようになりました。
私は元々家事が苦手……。
洗濯も掃除もできればしたくない!
結婚前まで実家暮らしだった私は、すべて母任せだったので、通勤と仕事と家事の両立はかなりしんどかった記憶があります。
結婚前に週末だけ体験していたのは「いい奥さんごっこ」のママゴトのようなもので、これが現実なんだと思い知らされました。
そんなある日、いつものように土曜日も仕事に出かけた私。
彼は横になってゲームをしながら「いってらっしゃい!」と笑顔で送り出してくれました。
そして、夜8時。早めに切り上げて帰宅したもののクタクタで……。
晩ご飯の用意をしていてくれたのでそれだけでも「ありがとう!」と感謝の言葉を言えれば正解でした。
けれど真っ先に外に干しっぱなしの洗濯モノが視界に入り、「1日中暇な人が料理しただけ?」と嫌みを言ってしまったのです。
そうしたら、お互いに抑えていたものが一気に爆発!
彼の顔つきがパッと変わりました。
そして彼と言い合いへ
彼からの不満は次から次へと出てきました。
「本当は仕事を辞めてほしいとずっと思っていた!近所で昼間数時間働くくらいでいいと!」
「自分の職場にも共働きの夫婦がいるけど、その奥さんは朝、ちゃんと夜ご飯の仕込みまでしてる!」
「同僚や先輩に、奥さんはご飯も作らないの?とびっくりされてる!」
えっ?えっ?はぁ?がいっぱいで、私も怒りが止まりません。
「高校の時から今の職場で働きたいって決めていたのをずっと知っていて、心の中では辞めればいいのにと思ってたの?」
「そんな土日休みで、夕方には毎日仕事が終わるような仕事していたら誰でもご飯くらい作れるわ!」
「っていうか……職場の人に、私のことそんな風に話しているの?」
その日を境に、彼は一切口を聞いてくれなくなりました。
もちろん、布団も別々の部屋に。
ちょっと言い過ぎたと反省し、どうにか修復を試みようと毎日夕ご飯を作りましたが、食卓にすら座ってくれることはありませんでした。
それでも、数日間は気楽に考えていた私。
お互い慣れない新生活でストレスが溜まって一気に爆発したけど、こんなこと前から何度もあって。
そうやって繰り返しながら夫婦として歩み寄っていくものだと……。
でも、全然違っていました。
何日も相手にされないので、メールで「今日はちゃんと話し合いたい。退職も視野に入れてる」と入れて早めに帰宅したのですが、
「今さら仕事を辞めてもらっても、その後の責任は自分には取れない」と言われてしまい……。
口を聞いてもらえない日々は延々と続きました。
嫌な流れを変えたい!思い切って家出
どうにか流れを変えたくて、私がとった行動は『実家に帰るフリ』でした。
彼がいる週末、新婚旅行で初めて使った大きなトランクを広げて、いつもよりゆっくりと丁寧に衣類を詰め込みます。
「ねぇ、話かけてきてよ」
「じゃないと、私、出て行っちゃうよ!」そう心の中で叫びながら…。
ずる賢い私。
その日、家出のフリを決行したのは、遠くで雷が落ちる大雨の日だったから。
そして、彼は心根が優しい人だというのを、私はよく知っていたから。
だって10年付き合ってきたんだもの。
間違いない、彼は引き留める。
「こんな雨で危ない日じゃなくていいじゃないか」と。
その言葉で、優しさで
私は「まだ愛されてる。終わるはずがない」と確信したかったのです。
予想していた以上に激しい土砂降りの中、玄関を開けてトランクを運ぶ私。
なのに、彼は何も言わず、ただ出て行く私に背中を向けたままでした。
フリだったのに。ただのフリだったのに。
もう戻れない私は、車のエンジンをかけて少し走りましたが、
ワイパーを一番強くしても前が見えず……。
車を道路脇に止めて、ただただ泣き続けることしかできませんでした。
(つづく)
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